2019/10/19
【ネイチャーフィギュア的レポ】恐竜博2019 その1

夏といえば恐竜。今年の夏も例外ではない。

というわけで先日、大好評のうちに終幕した恐竜博2019を振り返っておきましょう。



数年に一度行われる、科博主催の恐竜博。
前回は2016年で、僕は大阪会場に行きました。

今年の目玉は以下三つ。
・デイノニクスのホロタイプ標本
・謎の恐竜デイノケイルスの全身骨格
・神がかった保存状態の日本産恐竜カムイサウルス

それぞれだけでちょっとした展示会が開けそうなレベルの題材が、3つもそろっているのです。


今年の恐竜博の特徴としては、とにかくプロモーションが上手かった印象。

事前にNHKで放映された番組では、デイノケイルスに「ニコ」という名前をつけて物語の主人公として扱っていました。
これには賛否あったかもしれませんが、悲しいクライマックスは多くの視聴者に響いたでしょう。

グッズは前回と同じく海洋堂のオフィシャルフィギュアだけでなく、カワイイもの好き向け(?)として「すみっこぐらし」とコラボ。新たな層を呼び込むことにも成功しました(即完売して転売が賑わっていたのが気になったが)。

今回はしっかり関連書籍を読み漁って予習済み。

7月27日(土)すなわちワンフェスの前日、夕方に行ってきました。
あいかわらず前置きが長くなってしまいましたが、ネイチャーフィギュア的レポート行ってみよう。
行ったのは土曜日でしたが、混んでいると嫌なのでキッズたちの邪魔をしてはいけないので夕方に入場。
僕は諦めてしまいましたが、きっとここに、未来の恐竜研究を担うキッズたちがいるのでしょう。
Chapter1 恐竜ルネサンス
恐竜ルネサンスのきっかけとなった、デイノニクスのホロタイプ標本からスタート。今年は命名50周年。
(そんなこともあり、昨年のワンフェスではディノニクスのキットが再販されていました。)

写真に写っているチューブ状のガラスケースに展示されており、混んでいてもどこからでも見えるのでGood。
大英自然史博物館展のときの始祖鳥は地獄でしたから・・・。

標本の返却時にはこの特注のケースをつけて返すそうなので、もしかしたら将来、海外でこの展示を見る機会があるかもしれない。
恐竜ルネサンスから現代まで、当時の恐竜像を変えた新発見にちなんだ恐竜達をピックアップ。

壁のLEDを追っていくと、時系列順に命名年を見ることが出来ます。こういうストーリーがあるのは良いですね。
単に「大きい!、かっこいい!」で終わるよりも印象に残りやすいです。
最初はデイノニクスからスタート。
集団で狩りをする賢さがあったのか、それとも共食いをする程度に知能が低かったのか・・・それは今でも議論が続いているようです。
会場で販売されたフィギュアにはまさにこの飛び掛るシーン、同時期に発売されたカプセルQでは成体復元がラインナップ。個人的にはホロタイプ標本となった脚だけのフィギュアも欲しかったです。
始祖鳥は以前科博にきたロンドン標本のレプリカ。

デイノケイルスは一度前肢だけが登場。僕が子供のころ見ていた図鑑では、この前肢から想像された姿が載っていました。
恐竜が子育てをしていたという学説のきっかけとなったマイアサウラ。「サウラ」は「サウルス」の女性形なんだとか。母親にふさわしい名前だったんですね。

なお会場で購入した図録を読み返すと、卵の温め方(巣材の種類)について、ハドロサウルス類は植物の発酵熱を利用していたと記載してあった。17年前の食玩を見てみると・・・・。
確かに植物。恐るべし、海洋堂。

続いて壁に沿って重要な研究を見ていくコーナー。
 
恐竜マニアの間ではおなじみのディノサウロイドくん。グンマーから出張です。
恐竜が絶滅せずに進化したら・・・?という姿を実体化させたもの。
幼き日に図鑑で彼を見たときはトラウマモノでした。
今では恐竜は鳥に進化したというのは当たり前ですが、その仮説がまだ浸透していなかった当時だからこそ生まれた説なのです。
なお彼の先祖という設定のトロオドンは無効名になってしまいました。これ以上彼をいじめないで・・・。
初めて発見された羽毛の生えた獣脚類、シノサウロプテリクスの美しい実物化石が来日。チョコラザウルスを集めた人たちにはおなじみの種ですね。フィギュアと同じポーズですもの。
こちらも海洋堂オタクおなじみのミクロラプトル。鳥への進化の過程において、後肢にも翼があった時代を経たのか、あるいは後肢に翼を持たないグループが鳥になったのか、どっちなんでしょうね。

さらにミクロラプトルの色は黒だったという説が発表されています。
「恐竜の色は分からない」という常識は過去の話。いつの日か、どの図鑑を開いても恐竜の色は同じという時代が来るかもしれません。
アンキオルニスも同じく後肢に翼を持つタイプの獣脚類。

さっきあんなこと書きましたが、アンキオルニスに関しては画像検索してみると、もう大体同じ色です。
抱卵状態のシチパチ。ちーたんの館の特別展で見たばかり。

シチパチといえば科博の常設展でおなじみですね。
現生の鳥と同じ様に、オスが抱卵していた可能性も出てきたそうです。
展示はレプリカでしたが、図録には実物の写真が載っています。本物は持ってこられなかったのかな?
恐竜温血説から始まった恐竜ルネサンス。子育て文化、羽毛の存在、鳥への進化、色の特定。少しずつその真の姿に迫りつつあります。
Chapter1でここ50年をざっとお勉強したところで、恐竜学最前線を見ていこう。

ページ2に続く
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